リオオリンピック、ドローン排除に失敗
オリンピック会場にドローンが侵入するのを防ぐために色々行ったものの、結局防げなかったというお話。
- メーカー(DJIなど)に、会場付近を進入禁止区画に設定してもらった(「ジオフェンシング」措置)
- 軍がジャミング装置を購入、携帯キャリアにも妨害電波の出力を認めさせた
- 軍はDroneBlocker(さらに強力なジャミング装置)も購入した
ちなみにDroneBlockerは、侵入したドローン(3機以上)が自ら退去したため、未使用とのこと。
今回、軍が強力なジャミング装置を使うことについて法的なお墨付きを得てしまったため、これらが他の目的で使用される可能性も懸念されています。携帯キャリアに認めさせていることから分かるように、ジャミングは携帯を通信不能にするため、色々な「応用」が考えられるわけです(「アラブの春」で携帯を介したやり取りがフル活用されたのは記憶に新しいところですし、国家レベルでインターネット遮断を行う例も過去に何回も起きています)。
個人的には、それなりのジャミング装置を準備していても有効範囲は限られる、というのは重要なポイントかなと思います。
122) ホワイトハウス無人機墜落に関する推測 :ドローン空撮[技術解説] http://www.04u.jp/aerial0d_a22.html 114) GPSハッキング :ドローン空撮[技術解説] http://www.04u.jp/aerial0d_a14.html
上記ではジャミングや偽GPS情報による誘導について書いてありますが、たしかにこれらが使える条件は限定的なんですよね。
- 攻撃側なら、割とやりたい放題
- 防御側で、ホワイトハウスのように大半の場所が「落とすだけなら無問題」「敷地上空で携帯が使えないのは問題なし」なら、対処しやすい
でも、オリンピックの会場で下手にドローンを落とせば人にあたり、下手をすれば死人が出ますし、あまり広範囲にジャミングをかければ副作用の方が大きくなってしまいます。偽GPS情報を送り込むには、ある程度相手を読む必要があるため、侵入してきたドローンへのいきなりの利用はリスクがあります。
この辺の基本は2020年になってもあまり変わらないのではないでしょうか。