ホテルのPCがランサムウェア感染……の真実

先日、オーストリアの4つ星ホテルSeehotel JaegerwirtのPCがランサムウェアに感染した、というニュースがありました。

www.itmedia.co.jp

news.mynavi.jp

実は、最初に出た話は、やや不正確だったようです。The Vergeが実際のホテル関係者にインタビューした記事が、ちゃんとあるんです。

ハッカーが高級ホテルの顧客を閉じ込めたという話を信じてはいけない」

www.theverge.com

ホテルのmanaging directorへのインタビューの返答が、次です。 (ホテルの公式サイトから見て、ほぼ支配人かそれに準ずる方でしょう)

私達(のホテル)はサイバー攻撃を受けましたが、問題となったのは、その日にチェックイン時にお渡しするキーカードへの書き込みができなくなったことだけです。ドアは何ら影響を受けていません。

さらに、中央制御でドアロックを制御することは、そもそもできないそうです。また、トラブルを想定した代替鍵(おそらく物理的な鍵)も使えるので、客室への出入りは自由。客への被害は「フロントでの待ち時間が長くなった」という程度のようです。

一方で、別の問題もあるようです。というのも、このホテル、こういった攻撃(ランサムウェアなのかは不明)を過去にも受けており、今回で4回目なのだとか。「オーストリアの多くのホテルが同様の被害を受けている。だから彼らに気付いてもらうために、今回プレスリリースを出した」とのこと。

ちなみに、今回「誤報」が出た背景には、ニュースソースの問題があるようです。今回ホテル側がプレスリリースを出したものの、ニュースとしてのソースはCentral European News(CEN)というところで、ここはBuzzFeed.comによれば「ク○ニュースの帝王」なんだとか。しかし、多くの英語ニュースサイトは、それを参照した"The Local"の記事を見た模様。なお、The Localは記事内容を一部改訂していますが、現状でも「客室に入れない」という記述はそのままです。