ネットワーク中立性へのNetflixの立場

FCC連邦通信委員会)のトップ人事に関連して、ネットワーク中立性(net neutrality)への懸念が言われていますが(日本語記事も多数ありますね)、その強力な擁護者の1つであるNetflix社は、先日投資家に向けて「FCCが現在のネットワーク中立性に関する立場を翻しても事業はダメージを受けない」と伝えました。

Netflixは既に十分巨大になったので、もはやネットワーク中立性の規定を必要としない」

arstechnica.com

米国におけるネットワーク中立性関連の規制弱体化〜きっと起きるだろうこと〜が当社の国内利益やサービス品質に大きく影響する可能性はあまりありません。なぜなら既に当社はプロバイダとの関係を安定的に維持できる程度には消費者に十分な人気を獲得しているからです。

しかし、同社は今後もネットワーク中立性を支持するとしています。

とはいえ、公的な政策のベースとして、強力なネットワーク中立性は、イノベーションや小規模企業を支援する意味で重要です。 新しい、潜在的には破壊的なサービスのうち、どれが運営でき、勝利するかを、プロバイダが決めることを望む人はいないでしょう。当社は、ネットワーク中立性によって雇用とイノベーションが加速する、ということを新政権と連邦議会が認識してくれることを望んでいます。

前半については、投資家向けに「うちは今後ダメです」と言うわけにもいかないということを考慮して読むことが大事だろうと思います。

極論すると、ネットワーク中立性がなかったら今でもAOLが主流のままだったかもしれません。

現在の米国はIT(特にソフトやサービス)の面で他国を圧倒していますが、ネットワーク中立性が失われた場合、その進歩は鈍化するでしょう。「アメリカ第一」という割に、米国の進歩を阻害しそうな(現在強いところをそのままにして、社会を硬直化させそうな)話が色々聞こえてくるのですが、やはり「アメリカ第一」もAlternative Realityな表現なのでしょうか。